研究概要 |
バイヤーの歴史的形成過程を考察すると、機能分割の流れが読み取れる。つまり、権限分散化と専門職的性格である。元来、購買と販売は同一人物が行い売れ行き状況が購買に反映していた。しかし販売時点のセルフサービス化と総合小売商業として取り扱い品目の増大にともない、バイヤー業務が独立した形態を有することになる。販売面を担当するスーパーバイザーと購買面を担当するバイヤーに2分割されていく。その後,バイヤー業務が煩雑になり、本来持っていた商品開発の役割が失われるにしたがって、通常の再購買、修正購買と新規購買の業務を分割し前二者を担当する、ディストリビューターと後者を担当するバイヤーとの3分割制度へ移行している企業が見られる。 また企業間での戦略の違いが組織形態を変化させている。現状小売業は以下の2つのタイプに別れると想定される。まずイトーヨーカ堂(IY型)がとる購買戦略は、新規商品開発・発掘戦略であり、これに対応して上記のような3分割の機能分割型的組織を採用している。これに対してダイエーなどほとんどの小売企業が採用している購買部門がほとんどの関連機能を包括するタイプで、総合的組織がある。 購買に関する戦略、規模、権限、機能と組織に関して比較考察し、類型化を行った購買戦略では、イトーヨーカ堂は、消費者のニーズを重視し、高品質商品をバイイングする点に戦略を資源を傾注している。つまり新規商品を探索することにバイヤー業務を傾注させている。そこで商品開発型購買と表現できる。これに対してダイエー、その他の多くの大手小売企業は、価格を重視し、仕入先から安い価格条件で商品を仕入れる努力に資源を傾注している。したがって、取引条件重視型購買と表現できる。
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