本研究は日立製作所と三菱電機の対米輸出マーケティングの特徴を解明することを目的とした。日立の対米輸出マーケティングに関しては次のことが明らかになった。重電部門をもつ総合電機メーカー日立は、日本の家電産業部門専門のソニーや松下電器、三洋電機に比べて、アメリカ市場への参入は後発であった。日立は、先発社であるソニーや松下電器に早期にキャッチアップするために、PB(private brand)やOEM(original equipment manufacturing)契約による間接輸出と並行して自社ブランドによる、直接輸出マーケティングを行った。技術力を持つ日立は、その後、自社ブランドによる輸出マーケティングに戦略の重点を移したが、その基本戦略は高品質、高収益を追求するものであった。 三菱の対米輸出マーケティングに関しては、聞き取り調査とアメリカの家電業界紙であるHFDやEleotronics Merchandaising Week誌、TV Digest、TWICEなどから日立の対米輸出マーケティングに関する記事を丹念に探索し、コンピューターにデータ一入力にとどまった。 なお、日本の民生用電子産業における対米輸出マーケティングの時代にすでにグローバル・マーケティングの基礎が萌芽として形成されていることを、理論的仮説として整理し、「グローバルマーケティング」というタイトルでとりまとめた。
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