研究課題/領域番号 |
11630107
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高尾 厚 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (20116221)
|
研究分担者 |
藤田 楯彦 広島修道大学, 商学部, 教授 (50105649)
田村 祐一郎 流通科学大学, 商学部, 教授 (20003006)
水島 一也 流通科学大学, 商学部, 教授 (70030707)
今井 薫 京都産業大学, 法学部, 教授 (80129759)
|
キーワード | 保険制度 / 文化史 / 社会的連帯 / 社会保障 / 統計学 |
研究概要 |
保険制度の文化史的背景を検討するために、各構成員がドイツ・イタリア・韓国・台湾に調査に出向くと共に、保険制度が本来、「神の領域」である不確実性からの保障機能の「世俗化」であったとの仮説を検討した。また同様の見地から、ルネサンス期以降の都市の「社会保障政策」も、「愛」にもとづく宗教的な拠出がその役割を失い世俗化するプロセスで発生していくとの仮説も検討した。さらに当時のカソリック教義がそのような社会連帯の「聖」から「俗」への転化にある種の機能を果していたかに関して今後さらに究明する必要があるかについても討議した。これはけだし、保険が社会的連帯を所与とする「互酬」に類似しながら、実はそれと対極の存在であるとの認識から、「社会保障」も多分に、宗教的相互連帯に似て、社会的「棄民」(つまり「世俗化」)としての性格をもっていた、との仮説が展望されるからである。今後の作業として、これらを検証することをつうじて、「絶望的覚醒」と「ニュートラルで無機質的技術としての統計学」との融合としての近代保険の登場を指定しようとしている。
|