研究概要 |
EDI(電子データ交換)やPOS(小売時点情報管理)などの情報ネットワーク技術の流通分野への浸透に伴って,日本の流通チャネル構造は大きく変革している.日本の流通チャネル構造の変革について,今年度は,実証分析と理論分析の両方を実施した.まず,実証分析については, (1)日本の流通チャネル構造の変革に関する実態調査と実証分析, (2)メーカーと流通業者との戦略的提携と,サプライチェーン・マネジメントの実態調査, を研究課題として,流通関係機関からのヒアリングと資料収集を行うとともに,調査結果を大蔵省財政金融研究所の研究会において発表した.その内容のとりまとめは来年度に実施したいと計画している. また,理論分析としては, (3)メーカー,卸売業者,小売業者,からなる流通チャネルの多段階ゲームによるモデル分析, (4)投機的在庫投資のケースについて,流通チャネルにおけるリスク分担メカニズムのゲーム論的分析, (5)延期的在庫形成のケースについて,情報構造とチャネル構造に関する不完備情報ゲームによる分析を研究課題として実施しており,この部分については,1999年11月にオーストラリア・シドニーで開催されたAustralia & New Zealand Marketing Academy Conferenceで研究成果を発表するとともに,研究発表の項目に記載している5本の論文を公刊した.理論分析は現在も進行中であり,来年度の日本経済学会で研究の一部を発表するとともに,成果のとりまとめを来年度に実施したいと計画している.
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