研究概要 |
国際マーケティング複合化(世界標準化と現地適合化との同時達成)に関しては,それをどう呼ぶかはともかく,その重要性・必要性は以前から指摘されていた。Takeuchi,H./Porter,M.E.(1986)やJain,S.C.(1989)などがその代表である。しかしながら,その要因分析や経営成果分析などに関しては少数の研究があるだけで,未だ十分とは言い難い。本研究では,国際マーケティング複合化における要因分析ならびに経営成果分析をアンケートによって解明しようと試みているが(現在,実施中),その前に従来ほとんど視野に入っていなかった問題点を検討した。 第1に,グローバル化の意味である。多国籍企業の最近の動向(グローバル化,グローバルM&A)を検討した結果,グローバル化の主体を明らかにしなければならないこと,およびボーダーレスな世界ではなくボーダーフルな世界が存在すること,が分かった。国際マーケティング複合化とはボーダーフルな世界で企業が実施する,極めて複雑な国際経営活動なのである。 第2に,情報技術(Information Technology:IT)の役割について。ITはコミュニケーションや契約などでグローバル化を推進するばかりでなく,SCM(Supply Chain Management)のインフラを提供し,国際マーケティング複合化の不可欠の要因となることが分かった。そのことをデル・コンピュータやアマゾン・ドット・コムなどを事例に取り上げることで明らかにした。
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