今年度は、昨年の実験で明らかになった、消費者の選択と判断の課題による違いを踏まえて2年目には二つの課題を解決することを目指した。まず、選択実験と判断実験を混合させることで、消費者が対象となるブランドを購買する過程に違いが出ることを明示的に示すこと。特に、外在的手がかりと内在的手がかりの利用に明確な違いがあることを検討できる実験を構築した。次に、反応時間の違いを明らかにするためにクライアント側での実行とその結果をサーバー側で監視して、情報をリアルタイムに収集できるシステムの構築へと実験の方法を変更した。 2000年5月からシステムの変更を行ったが、実際に実験にかかることが出来たのは、秋になってからであった。この変更は、当初の研究案からの大きな変更であり、システムの構築にはかなりの時間を要した。その結果として、本実験の回数を少なくせざるを得なくなった。これらの実験から明らかになったことは、関与水準の計測に使われた尺度の再検討の必要性と消費者の対象製品クラスへの知識によって意思決定に関わる処理時間が変化することである。 また、選択肢の類似度の違いによっても情報処理の違いも考えられ、異なるセッティングで繰り返し実験が必要であることが明らかとなった。ただし、選択実験と判断実験との差を説明できるかどうかは、これらの要因の複合によって明確な差を見いだすには至らなかった。この点は、現在のシステムを使って継続的に検討することが可能であり、課題として残された。
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