アジアの経済危機のため97〜98年にかけて日本企業の国際化の動きは一時的に鈍化したが、その間にも経済のグローバル化はあらゆる産業、企業を巻き込みながら着実に進展していた。国内での新規事業の創造には、グローバルな視野が必要になっており、福岡では国際ネットワークを基礎にしたコンベンションや情報サービス産業などの新しいタイプのベンチャー型企業が登場してきている。 しかし、アジアの経済危機以後、アジア各国はカプセルのように外資企業を現地の混乱から遮断するような優遇条件を緩めてきており、進出企業は自前で現地国への経営適応を必要とするようになった。この結果、海外資源の乏しい地域の中堅中小企業はアクション・ベースの協働経営を現地パートナーと構築する必要に迫られている。われわれの調査では、そのような経営を構築できた海外子会社の操業は順調であった。現地で協働型の経営を構築する能力の開発と蓄積が、グローバルな新規事業創造の成功要因として重要になっていると言えそうである。 このような動向を受けて、これまでとは異質な新しいタイプの人材ニーズが高まっており、それがビジネス・スクールなどの高度専門職業人養成を求める声になっている。国際人の養成とグローバル経営のコア・コンピタンスの形成とがこれからのベンチャー企業の創造と革新の鍵になるというのが、ここでの結論である。
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