本年度は、前年度に実施した予備調査及び受け入れ可能企業調査に基づいて調査対象企業を選定し、連結業績評価システムに関する具体的なヒアリング調査を行なった。 具体的には、東洋経済の調査による売上高・純利益についての連結ベースと単独ベースの差の大きい企業上位50社リストに基づいて、両項目で上位20位に入る7社のうち4社、どちらかの項目で50位以内にあり連結経営企業として取り上げられることの多い企業7社、合計11社を選定した。11社は全て製造業で、業種別内訳は、繊維1社、窯業1社、電機5社、自動車・同部品3社、精密機器1社である。 調査は聞き取りによるフィールド・サーベイで、設定した質問項目は連結業績評価システムを中心に、グループ経営や事業部門への分権など連結経営に係わる経営方針、カンパニー制などの事業組織、国内外の関係会社経営管理など組織運営に係わる問題、グループ内人材登用など、広く連結業績評価システム導入の背景・関連と考えられることに渡っている。ヒアリングの相手は各企業とも総括的な経営責任者もしくは全般的な経営管理業務部門の長で、ケースによって管理会計・システム担当者のヒアリングを合わせて行なっている。 他方、ヒアリング調査と平行して、連結経営、連結事業部制、連結業績評価システムに関連する各社の事例に関する調査報告書などの資料収集を行なった。経営誌の特集、大学紀要の掲載論文、シンクタンクのレポート掲載論文、シンクタンクによる調査報告書などである。 これらの調査結果・資料の整理・分析は今後も継続して行ない、連結業績評価システム導入の経緯、背景を含めて取りまとめを行なう。
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