研究概要 |
1、日本企業の人的資源管理システムと公正性に関する概念モデルの設定 日本企業の人的資源管理システムに関する文献研究から、経営学、社会学、経済学など多様なアプローチが可能であることが明らかになった。そのうち、公正性との関係を検討する上では、組織行動論的アプローチとして、また日本企業の特徴をアメリカ企業と比較によって検討できるという点からハイ・コミットメントモデル(Lawler,1992)を概念モデルの一つの要素として取り入れることが有効であろうと考えられた。また、公正性を捉える枠組として「組織の公正」概念(Greenberg,1990)に注目した。その上で、両者を接合させたモデルを設定した。つまり、日本企業の人的資源管理システムは従業員のコミットメントを高めるという特徴を持ち、それを通じて組織目標が達成されていると考えられる。そして、そのような人的資源管理システムの特徴とコミットメントをつなぐ要因として組織の公正を位置付ける。 2、企業の人的資源管理システムの調査 上記のモデルに基づいて、まず企業の人的資源管理を検討するため、一次調査として企業調査を実施した。対象は、東北地方の従業員100人以上の企業964社で、2月に質問紙を郵送によって配布した。質問紙は、ハイ・コミットメントモデルを検討するための項目で構成されている。現在これらの質問紙を回収中である。回収後は、ハイ・コミットメントモデルの視点から、対象企業の人的資源管理システムを分類し、それと企業の業績・退職率等の有効性指標との関係を検討する予定である。
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