研究概要 |
1.支援システムの構築とその有効性の検証 プロトタイプを学生や社会人を対象に実施して合意形成(集団的意思決定)支援システムを完成した.このシステムはゲーミングシミュレーションの手法を用いて開発され,3台のパソコン,スキャンコンバータ,ビデオカメラ,画面4分割装置,デジタルビデオデッキ,OHPなどからなっている.(1)再現性が確保されているので自己客体視,効果の分析,および反復学習が可能であり,また(2)ボードではなくパソコンを用いているため内容および難易度の調整が容易であるという特徴がある.また分析手法も完成し,コミュニケーションを中心にリーダーシップ,開放性,適応力などのチームワークの特徴と学習効果の測定が可能となった.この支援システムは,参加者に自己を客体視させることによって学習に心を開き,そこで体得した知見を現実社会での活動に生かして学習すること,そして数週間後に再度実施してその効果を確認することを狙いとしている. 12年度には,機材を持って柏崎および福島の運転員訓練センターを6回往訪し,教官を対象にこのシステムを実施した.その結果本システムの有効性が確認され,13年度から同センターの中央制御室運転員訓練の一環として採用されることになった. 2.原子力発電のパブリックアクセプタンスに関するモデルの作成 東京電力柏崎刈羽発電所のインタビューやアンケート結果を分析した結果,東京電力側と地元住民との意識のずれが明らかになった.会社側が「広報活動」を重視しているのに対し,住民は会社,社員およびその家族の「姿勢」という感性的側面を問題にしている.この点を社員とその家族に疑似体験を通じて学習させる必要性が明らかになった. 3.セーフティーカルチャー この研究をさらに一歩進めて,セーフティーカルチャー向上を支援するシステムの開発につなげるため,この問題が大きくクローズアップされた米国ミルストン原子力発電所の事例を研究した.
|