本年度は、非営利組織体の効率的な運営の方法をフランスの例から考察した。フランスの制度の改革は、地方自治体レベルのみならず、政府レベルでも行われてきた。それは、「改革、近代化」の号令の下に財産の管理、透明性の確保を背景としている。会計上はとりわけ資産会計の重要性が認識され、「資産会計委員会」が政府内に設置された。これは、政府の財務システムを明確にし、資産を正確に評価するとの基本理念がある。この委員会で始めに取り組んだことは、諸外国との比較であった。我国は、大きな改革が始まらない国に上げられていた。 非営利組織体の運営の近代化には、意思決定の明確化、財務プロセスの改善、適切な公共支出の強化が必要である。これは政府、地方自治体にのみ課せられた課題ではなく、非営利組織体全体の問題である。そのためには社会性、公共性の再検討にまづ取り組まねばならないであろう。この場合、非営利組織体を政府、自治体のように完全なパブリック・セクター部門と財団、病院、学校法人のような半パブリック・セクター部門に厳格に分けて検討されなければならないであろう。つぎに、このようなアプローチを採用する場合、手法として企業会計的方法が有効となるであろう。この方法は、企業会計の基本的な枠組みを使いながら、達成される。たとえば、複式簿記、発生主義、会計期間、外部監査、減価償却、資産評価などを非営利組織体が採用することに十分前向きに取り組まねばならないことである。
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