コーポレート・ガバナンスとリーダーシップとの関連で、経営理念と経営システムについて、調査した。この調査をするにあたっては、私が以前発表した経営統治システムのモデルを用いた。このシステムモデルは、経営統治(コーポレート・ガバナンス)の構成要素として、(1)目的合理性の遂行、(2)リーダーの適性、および(3)手段合理性の遂行を掲げるものである。 このモデルに基づき、われわれは、調査のフレームワークを、(1)コーポレート・ガバナンスに関する経営理念、(2)取締役とリーダーシップの適性、(3)経営リーダーシップの資質、(4)効率的経営に向けて、そして(5)効率的経営のスタイルという5本の柱とした。これらの5本の柱のそれぞれに、数多くの質問を設けて、アンケート調査票を作成した。時間と労力をかけただけに、良い調査票ができたと自負している。これらの柱の他に、人事管理に関する経営理念、経営理念と社会貢献活動、企業の文化的価値等についても、設問した。 アンケート調査票を発送したのは、東京証券取引所一部上場会社320社である。法人所得上位500社のなかから、上記一部上場会社を選ぶと、320社になるためである。現在、調査票を発送し、回収している最中であり、調査結果については、おって言及することにしたい。 われわれが調査において狙いとしていることは、日本企業が、成長目的から利益目的にどの程度転換しているのか、取締役会の機能回復をどの程度図っているのか、利益志向の効率的経営をどのような方法でどの程度実現しようとしているのか、これらの動きの度合いを、数値によって明確にすることである。 この形の調査を、順次、アメリカ企業や中国企業に広げていきたいと考えている。
|