ワークデザインは、未だに唯一といってよい、体系化されたシステムの設計方法である。しかしワークデザインの手法体系内にはまだいくつかの論理的矛盾点がある。その1つはインプットである。たとえば、缶ジュースを売る自動販売機というシステムのインプットは何か。多くの人は、100円とか120円とかいうおかねがインプットであると考える。しかしワークデザインでは、おかねはインプットとは考えない。インプットは缶ジュースと考える。(アウトプットは「売られた缶ジュース」)。では、100円とか120円とかいうおかねは、インプットではないのか。これは一見矛盾しているように思われる。 本年度の研究では、この問題に挑戦し、次のように解決することができた。それは、おかねはトリガーと解釈すること。そして、システムにとって重要な要素である、トリガーについて定義をし、トリガーの性質を明かにし、トリガーを含めたシステムの設計手順を明確にした。明らかにしたトリガーの性質の一部を以下に列記する。 (1)われわれが日頃口にする「インプット」は、2つの意味に分けて考える必要がある。1つは「動作としてのインプット」、もう一つは「設計のためのインプット」。 (2)ワークデザインでは、「設計のためのインプット」を単に「インプット」と呼ぶ。 (3)「動作としてのインプット」は多くの場合トリガーといった方がよい。 (4)「動作としてのインプット」が「設計のためのインプット」に等しい場合もあるが、異なる場合もあることに注意すべきである。 なお、設計図を描くためのソフトの作成の一部を完成した。
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