研究課題
基盤研究(C)
当研究は日本企業の東アジア合弁企業が技術力の向上、人材の育成、戦略策定などに果たしている役割について、合弁形態、トップマネジメントのあり方、経営と管理の現地化、技術移転・定着の方法、現地国政府の政策などの現状、課題、方向に焦点を当てて、ケース・スタディを重ねることを基礎に、一定の定式化、類型化を試みることを課題とした。地域的には中国を中心とする地域、産業的には電機・自動車など加工組立産業に絞り込みをし、さらに、国際比較としては日本と米国のそれぞれの東アジア合弁企業の比較に焦点を当てた。この課題のために、文献・資料の収集につとめるとともに、海外調査を行い、報告書および論文を公表した。その成果の1つは、中国大連市、北京市および天津市の日系企業のケース・スタディである。合計8つの企業、機関を調査した。その中には、比較のために2つの中国国有企業が含まれている。大企業の合弁企業は経営幹部の機能分担や政府の支持によって、かなりの成果を上げている。しかし、技術移転のための人材育成、国内市場向けの製品戦略やマーケティング能力・組織の形成については大きな課題が残されていることが明らかになった。2つは合弁・提携をテコとした中国自動車産業の発展状況についての研究である。産業全体における合弁・提携企業の実態分析、および個別企業として米中合弁・北京ジープの分析を試みた。生産システムについて日欧米企業から多くを吸収しているが、規模の経済性は十分には達成されていない。特に、多数の国有企業を中心に部品企業はあるものの、その設備が古く、効率的な生産、供給が困難なため、部品の品質、コスト、納期面での問題が残されている。中国はWTO加盟に直面しているが、競争力の強化と国内市場の拡大のためには製品戦略や技術力の向上が不可欠であり、日本企業の貢献がいちだんと必要とされることが明らかである。
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