1.平成10年12月までにストック・オプション制度を採用した企業のサンプルについて、東京証券取引所のTDnetデータベースサービス及び日経4紙DVD-ROMを利用して、イベント日の再検討を行った。特に制度創設当初は取締役会決議が行われる前に、ストック・オプション制度採用という新聞記事が掲載される事例も見られ、企業側が公式に制度採用を公表した時点とイベント日が必ずしも一致しない可能性が出てきたため、イベント日の修正を行った上で異常収益率を再度計算した。ワラント債利用方式についてもワラント債の条件決定日以前に報酬制度の採用について財務短信で公表されている場合が多く、イベント日について大幅な修正を加えた上で異常収益率を再度計算した。 2.わが国の場合、特に制度創設当初において、イベント日が取締役会の翌日となっておらず、タイムリーな開示という観点からすれば問題があった。これは議員立法により1年前倒しで商法改正が行われたため、会計処理や開示に関するルールが未整備な状況での制度創設となったことが原因と考えられる。 3.以上の内容に関しては、アジア会計学会第1回年次大会(シンガポール:2000年8月28日)、国際会計教育研究学会第3回研究会議(神戸:2000年10月7日)、証券経済学会年次大会(名古屋:2000年11月19日)、において研究報告を行い、「会計ビッグバンとストック・オプション」と題する報告論文を『証券経済学会年報』に投稿した。
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