1.これまでの研究成果の一部を「会計ビッグバンとストック・オプション」と題し、『証券経済学会年報』で公表した。そこでは、ストック・オプション制度導入当初におけるわが国の株式市場の反応に関するデータを示した上で、開示ルールが未整備な状況での制度創設の問題点を指摘している。 2.2002年2月15日から16日まで大阪経済大学で開催された国際会計ワークショップにおいて、"Accounting for Stock Options in Japan"と題する研究報告を行い、研究成果の一部を発表するとともに、仮説の精緻化、あるいはデータ処理上の問題点について、ディスカッションを行った。 3.平成13年11月の商法改正により新株予約権の制度が創設され、ワラント債利用方式を含め、自己株式方式、新株引受権方式、と分かれていた従来のストック・オプションが新株予約権に集約された。従来、商法上のストック・オプションを子会社の役員に付与することはできなかったが、新株予約権は子会社の役員のみならず、第三者に対しても所定の手続きを経て付与することが可能とされている。また、従来は付与できるストック・オプションの数に関して発行済株式総数の10分の1という上限が設けられていたが、それも撤廃された。このように商法上のストック・オプション制度が大きく変化したため、従来の制度との比較を行うとともに、仮説の再検討を行った。従来の制度と比較すると規制緩和が行われているため、機動的なストック・オプション制度の利用が可能となった反面、過剰に付与されるリスクも高くなったと考えられる。
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