研究計画にもとづき更生手続終結会社、新秋木工業、興人、村山、三光汽船、国光製鋼、油谷重工、波止浜造船、鈴江製作所8社を会社訪問して、その後の発展を調査した。管財人の調査報告書によれば、更生手続開始申立に至る原因として(1)経営者のワンマンによる放漫経営、(2)過剰施設投資による資金繰り悪化、(3)産業構造の変化が代表的な原因である。(1)(2)が主たる原因である倒産については、興人、山陽特殊製鋼、波止浜造船にみられるように有能な経営者と95%以上の一般更生債権のカットで「みごとに」再建されている。これに反して、主として(3)産業構造の変化による倒産の場合には、更生手続が終結しても、倒産以前の面影は最早ない。町工場以下で倒産の軟着陸ともいえそうである。会社更生法では、株主は全く無視100%カットが一般的となっているが、自主再建の道をとった村山、国光製鋼のような再建もある。大企業の全額出資による再建は、容易ではあるが、その一部門となっているにすぎない。一般債権者と零細株主の犠牲のもとに再建しても会社の尊厳は失われる。 また、更生手続終結に至る長い期間の景気の動向も非常に影響が大きい。過大な販売用不動産投資で行き詰まった興人は、その後のバブル経済の過程では再生に必要な利益の源泉となっている。保有土地はいまも利益の蓄積手段である。保有土地もなく実体のないベンチャーでは再生も難しいものと思われる。企業経営は、無限に続く苦難の連続であり、好調な時期はそれほど長くないことが理解できる。要は、好調なときに新製品の研究を進め将来の産業構造の変革に備える以外には道がないように思われる。当研究は昭和24年取引所再開以降1999年までの上場廃止会社300余社の沿革データベースを作成し、経営者の努力の記録と教訓を得ることにある。現在108社を略完成した。
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