環境問題への企業の対応に関する開示は、近年、「環境会計」や「環境報告」の名称の元に研究が進められている。ところが、これらと従来の会計や財務報告との整合性は明らかでない。そこで本年度は、これらの整合性の有無について、徐々に増加している企業の「環境報告書」やインターネットによる「環境報告」の類型を調査し、類型化するためのデータベース作成のための基盤作りを行った。基本的に、まずデータ集積とデータベース整備を容易にするためのPCレベルでのクライアント/サーバシステムの整備を進めた。その過程で、企業の環境活動と会計指標との関係について、日本社会関連会計学会第12回年次大会(平成11年11月20日)統一論題において、「会計文化と測定対象-社会関連指標と会計指標-」と題する成果報告を行った。この報告は、おって論文として公刊の予定である。 環境対応のためには、本研究で対象とする「資源生産性」を高めることが有効であると考えられ、単なる記述や原単位の環境報告等ではなく、制度的な会計機構と連係した指標の開発が、とくに株主価値が重視され始めた株式会社としての企業については重要である。したがって、引き続き環境報告のデータを収集し、会計指標との整合性の調査とデータの類型化に取り組んでいる。また、そこから持続的発展のための資源生産性を測定するのに必要な計数を利用可能にする方法の検討を行っている。 次年度は、さらに環境報告に関するデータベースの整備を図り、実際に資源生産性を測定するためのフレームワークの考察を行う。
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