研究概要 |
1.fを1変数尖点形式でしかもヘッケ作用素の同時固有関数とするとき,池田保氏(京大)によりfの齋藤-黒川リフテイングの非常に見事な一般化が1999年に得られたたが,そのマースゼータ関数をきちんと計算した.そして,その公式にfのヘッケL関数が現れるのをみた.この成果を数理研究所における短期共同研究集会(2000年,12月)で報告した.(一部は伊吹山氏との共同研究) 2.2次形式に付随するあるデイリクレ級数を定義し、それをオイラー積の有限和あるいは無限和で表す明示式を得た。また、各オイラー積の"良いオイラー因子"の具体形を求めた。その応用として、ある場合に上のデイリクレ級数が全平面に解析接続されることを示した.ジーゲルアイゼンシュタイン級数に付随するアンドリアノフ型のデイリクレ級数がオイラー積をもつこと及びその"良いオイラー因子"を求めた.この成果をルミニーにおける国際会議(2000年、9月)および山形におけるシンポジウム(2000年、10月)で報告した。 3.ギャレット,ベッヘラーによるアイゼンシュタイン級数の引き戻し公式と本研究代表者が数年前に求めたアイゼンシュタイン級数のフーリエ係数の明明示公式を利用して,1変数保型形式のトリプルL関数の特殊値を厳密に求めた.これは,水本信一郎氏(東工大)による結果の別証明を与えている.この手法は高次元のジーゲル保型形式のスタンダードセータ関数の特殊値を厳密に求めることへも応用可能と思われる.
|