研究概要 |
n次元射影的トーリック多様体上のアンプル直線束をn-1回以上テンソル積すると,その大域切断は射影空間への埋め込みを与えることが知られている。n回以上テンソル積した場合には,その埋め込みが2次式のみで定まる代数多様体として実現できることを平成11年度に証明した。トーリック多様体上のアンプル直線束は凸多面体と密接に関係するので,3次元凸多面体とその中の整数点の分布状況をコンピュータを使って調べることにより,n(≧3)次元射影空間の商であるトーリック多様体ではアンプル直線束をn-1回テンソル積した場合も2次式のみで定義されることが判った。 平成12年度には,一般のn次元トーリック多様体の場合に,アンプル直線束をn-1回テンソル積して埋め込むと2次式で定義されることが証明できた。 トーリック・ファノ多様体の接束上にアインシュタイン・ケーラー計量が入るための障害である二木不変量の長年の研究から,平成11年度と12年度にそれを一般化した定スカラー曲率ケーラー計量の存在の障害として,板東・カラビ・二木指標を定式化し,それが幾何学的不変式論における代数多様体の半安定性に対する障害となっていることを示した。 また,4次元トーリック多様体へのアーベル曲面の埋め込みについて,2次元の直積には楕円曲線の直積の形のアーベル曲面のみが埋め込めることを示した。
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