研究概要 |
平成11年度において科研費による次の研究を行った。群Gの正規部分群U(|U|=u,[G:U]=m)と部分集合R(|R|=k)が適当なλ∈Nに対して群環C[G]内の方程式RR^<-1>=k+λ(G-U)をみたすときRをGおける(m,u,k,λ)相対差集合といい、Uを禁止群という。Rが相対差集合であることはxy^<-1>(x,y∈R,x≠y)達がG\Uの各元だけをちょうどλ回重複して表すことと同値であり、また正則自己同型群をもつある種の分割デザインの存在とも同値である。従来、相対差集合の研究はアーベル群に対して盛んに行われてきたが、この研究では、非可換群に対して存在条件の研究と構成を行った。J.A.Davisは差集合の構成にt-ビルディング集合の概念を用いた。平成11年度に二面体群における半正則相対差集合(i.e.G=RU)の研究を行う過程で、この群の指数2の極大巡回部分群上にビルディング集合ができることに気づきこの性質を調べることにより巡回p-群に部分群Uに関するt-ビルディング集合が存在すればUの位数はp^t以下となることを示した。今年度の成果はこのことを2面体群の半正則相対差集合の分類問題に適用して得たものである。また同じ方法が一般4元数群、半二面体群、モジュラーp群などの指数が素数の極大巡回群をもつp-群について適用可能であることを示し次の結果を得た。 〈二面体群では半正則相対差集合は自明なものだけであり、一般4元数では禁止群の位数が2のときにだけ非自明なものが常に存在する。また、半二面体群、モジュラーp群では禁止群の位数が素数でないときは自明なものだけが存在する。また3次のモジュラーp群では自明でない半正則相対差集合の無限系列が存在する。〉
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