研究概要 |
この研究による非可換群(とりわけ非可換p-群)が指数の大きな可換正規部分群をもつ場合の半正則相対差集合の存在に関する研究成果は次の通りである.その方法は研究調書の研究計画・方法におおむね沿ったもので差集合の条件を群の線形指標の条件に帰着させて行うものである。 研究の最初の段階では指数2のアーベル部分群をもつ群の半正則相対差集合については次が基本的であることを示した.定理1:Gを指数2の可換部分群Aをもつ群で,Aに含まれない位数2の元でAがinvertされているとする.もしGが正規部分群Uに関する自明でない半正則相対差集合をもつならばUの位数を割る任意の素数pについてAのp-Sylow群は非巡回群である.□ 一般四元数群Q_<2n>は自明でない半正則相対差集合をもつことがJ.A.Davisによって示されていたがその一般化であるdicyclic群については上記定理1の応用として次を示した.定理2:dicyclic群Q_<4m>が偶数位の正規部分群Uに関して自明でない半正則相対差集合をもてばU【similar or equal】Z_2である.□ 一方,2面体群や半2面体群については上記定理1の応用として次のことが分かった.定理3:2面体群および半2面体群の半正則相対差集合は自明なものに限る.□ 以上の結果をもとに研究の後半ではさらに精密な結果として巡回群を極大部分群として含むp-群については次のことを示した.定理4:Gを極大巡回部分群をもつp-群で正規部分群Uに関して自明でない半正則相対差集合をもつとすると次のいずれかが起こる. (i)G【similar or equal】Q_<2n>,U【similar or equal】Z_2.(ii)G【similar or equal】M_n(p),U【similar or equal】Z_p(pは奇素数).(iii)G【similar or equal】M_4(2),U【similar or equal】Z_2×Z_2.□
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