楕円ファイバー構造をもつ代数曲面で一般のものは小平次元が1となっている。その中で、3次元射影空間に正規特異点を許して埋め込めるものは次数が5以上になることが知られている。本年度は昨年度に引き続き、正規5次曲面で小平次元が1となるものについて、その構造の研究を行った。特に、特異点除去として得られる楕円曲面Sの重複ファイバーについて、その個数と重複度を調べ、Sの幾何種数が正のときには完全に決定し、それぞれについて例を構成した。 また、有限個の生成元と定義関係で決まる代数系(特にモノイド)の構造や決定問題を、主として書換えシステムの手法で研究した。Squierにより導入された、モノイドの有限表示に付随するグラフのパスの間のホモトピーの研究を行った。ホモトピーから定義される両側加群とモノイドのホモロジーの関係を調べ、ホモトピー加群が有限生成でなくても、左右のホモロジーが有限になることもあることを示した。モノイドが有限表示されるための条件を研究し、braid inverse monoidの有限表示を求めた。語の問題が可解である代数系が、有限完備書換えシステムをもつ代数系へいつも埋入可能かという問題を提案し、関連する問題を議論した。
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