研究概要 |
Noether環A内のイデアルIに対してR(I)=【symmetry】n【greater than or equal】0I^nとおき,イデアルIのRees代数という。射ProjR(I)→SpecAはイデアルIを中心とするSpecAのblowing-upと呼ばれる。blow-upすることは特異点を改良するための主要な手段の一つであり,1970年代の後半からはRees代数R(I)の環構造研究の一部として可換環論に於ても主要な研究対象の一つとなっている。本研究の目的はGorenstein性・Cohen-Macaulay性・Buchsbaum性など,Rees代数R(I)の環構造をその随伴次数環G(I)との関連の中で解析することにあり,(i)Rees代数と随伴次数環のBuchsbaum性を判定する簡便かつ実際的な方法を開発することと,(ii)Gorenstein局所環内の優良イデアルの構造解析と分類の2点を作業目的として,平成11年と平成12年の2年に渡って実施されつつある。平成11年度はテーマ(ii)に主力を注ぎ,Gorenstein局所環(A,m)内のm-準素優良イデアルに関する基礎理論の開発・整備等に従事した。また,イデアルIに関する随伴次数環G(I)のGorenstein性を判定するため,概念canonical filtrationを導入し,G(I)の環構造を判定する簡便かつ実際的な方法の確立にも成功した。これらの成果を5編の論文に纏め,平成11年5月に韓国のKIASで行われたInternational Conference of Commutative Algebra,8月にドイツのOberwolfachで行われた研究集会Commutative Algebra and Algebraic Geometry,および11月に東京で行われた第21回可換環論シンポジウムで講演を行い,内容の概略を報告するに至っている。
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