研究概要 |
研究課題には、「指標和の評価」と「原始根の分布」という二つの課題を挙げたが、今年度は主として「指標和の評価」の方を研究した。 xをqを法とする数指標とする。S(x;1,N)=Σ^N_<n-1>x(n)のことをxの指標和といい、これを法qや区間の長さNによって評価する問題が「指標和の評価」と呼ばれる問題である。 指標和に関しては、「Vinogradovの不等式」「Burgessの不等式」が重要である。私は、指標の法qを奇素数のベキp^kと取り、これによって生ずるp_<k-1>(p-1)個の指標からなる指標群のp_s個の元からなる部分集Dを取って、この上で|S(x;1,N)|の平均値を考察した。Dの選び方はどんな取り方をしてもよく、特に群構造などを必要としない。この結果、指標和は平均的にはVinogradovの評価やBurgessの評価よりはるかに小さいものであることを示すことができた。この結果は1999年9月に中国・北京市・中国科学院で開かれたInternational Conference on Number Theory of China and Japan(中日国際数論会議)にて発表した。 類数の評価等の数論的問題においてDirichletのL関数の特殊値の評価が重要であるが、指標和の評価からL関数の評価が得られる。上の結果の応用として「L(1/2,x)の評価のqーanalogue」と呼ばれる問題に関して、平均値の意味で改良が得られた。L関数の値の評価については同志社大学の岡崎氏と共同研究を継続中である。
|