研究概要 |
今年度は「原始根の分布」と関係の深い、剰余位数の分布について研究を行った。 aを自然数、pを素数とするとき、a mod pの類の(Z/pZ)^*における位数を剰余位数とよび、a mod pの(生成する部分群の)指数を剰余指数という。aの剰余指数が1であることを「aはmod pで原始根である」というので、原始根は剰余指数と近い概念である。原始根の分布については、これまで数多くの研究がなされ、かなり色々なことが分かってきたが、剰余位数に関する結果はほとんど知られていなかった。 私は、大阪府立大学の知念宏司氏の協力を得て、剰余位数の分布に関して次のような方向の研究を行った:aを固定し、別に数qをとっておく。素数pを動かし、「aのpを法とする剰余位数」をqを法とする剰余類に分類したとき、そこにどんな規則性があるかを探る。数式で書くと、 Q_a(x;q,i)={p【less than or equal】x;(aのmod pでの剰余位数)≡i(mod q)} の自然密度を求める問題になる。 この問題に対して私達の得た結果は、大体次の通り:q=4ととり、aに関して証明技術上必要になる二三の仮定を置くと、i=0,2の場合上記密度は1/3になり、i=1,3の場合の密度は1/6になる。 我々の方法は、上記の問題を剰余指数に関する問題に帰着させ、剰余指数の分布に関して得られている結果を使って解こうとするもので、後半部の証明には、一般リーマン予想が必要である。この結果については、シンポジウム「解析数論の展望と諸問題」(2000年10月、京大数解研で開かれた)にて発表した。
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