研究概要 |
昨年に引き続き、剰余位数の分布に関する研究を行った。(知念宏司氏と共同) 自然数aを固定し奇素数Pを動かすとき、剰余位数は非常に複雑に変動し、しかも非常に速く増大するので、大変研究しにくい数である。そこで我々は別に自然数kをとり、剰余位数をkによる剰余類で分類して、次の量の自然密度を考察した: Q_a(x;k,i)={p【less than or equal】x;a(mod p)の剰余位数≡i(mod k)}。 昨年度はk=4ととり、しかもaに関してかなり強い仮定をおくと、剰余位数の分布には規則性があること、即ちi=0,1,2,3に対して、上記密度は1/3,1/6,1/3,1/6と分布することを示した(一般リーマン予想を仮定した)。 今年度はaに関する仮定をほとんど完全に外し、一般のaに対して上記密度を完全に求めることができた(k=4の方はそのままとした)。この結果、(1)一般のaに対しては、1/3,1/6,1/3,1/6というきれいな分布は必ずしも起きない、(2)剰余位数の分布は、剰余類によってはっきり"偏り現象"があり、その"偏り具合"はaの値によって正確に知ることができる、といったことが分かった。 今後、こうした現象が一般の剰余kに対しても起きていることを立証したい。 上記の結果は、ドイツOberwolfach研究所で開かれたシンポジウム、京大数理研で開かれたシンポジウム等で発表した。
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