研究概要 |
研究課題には「指標和の評価」と「原始根の分布」という二つの課題をあげた。 「指標和の評価」については文献[1][4]が主な成果である。従来、指標の和の評価としては"Polya-Vinogradovの評価式"ど"Burgessの評価式"が重要であった。これはいずれも個々の指標の指標和に関する結果である。文献[4]では"平均値の意味で"指標和に対して更に良い評価が与えてある。結果[4]の応用として、"L(1/2+it, X)のq-評価は、平均的な意味で従来まで知られていた結果より良くなる"という結果が得られた。 「原始根の分布」に関しては、原始根と密接な関係を持っている剰余位数の分布について新たな知見が得られた(この部分は知念宏司氏との共同研究である)。 aを自然数、pを奇素数とする。pを法とする既約剰余類群の中でa(mod p)の類の位数を剰余位数と呼ぶ。従来まで、整数論ではもっぱら剰余指数の方だけが研究されてきたのだが、ここでは初めて剰余位数のほうを考察した。 剰余位数は非常に変動が激しいので、我々は「別に自然数kをとり、剰余位数をkで割った余りで分類して、各剰余類ごとの密度を求める」という方法を用いた。その結果、k=4の場合、複雑に見える剰余位数の分布にもかなり美しい規則性のあることが分かった。ただしこの結果の一部には一般リーマン予想が必要である。 最初に比較的やさしいaについて結果が得られ、現在では非常に一般的なaに対しても密度計算ができている。
|