研究概要 |
本年度の最大の成果は,平成12年12月23日に名大 谷川好男,京大 吉元昌己ととも得た,ゼータ函数に関するスシュムナー原理であります.これは,従来,ゼータ函数に対して,函数等式がもっとも基本的であると考えられ,その線に沿って考察がおこなわれてきたのを,ボホナーにしたがって,函数等式に同値なモジュラー関係式を基本におくことにより,モジュラー関係式から,保型形式(の変換公式)がえられ,したがって,函数等式をみたすゼータ函数から保型形式をつくりだすことができ,逆に,保型形式(の変換公式)から,モジュラー関係式,したがって,函数等式をみたすゼータ函数が偉られるという,へッケ理論の画期的な拡張の部分もあります.これにより,保型形式の理論と解析数論の境界がなくなって,おおきな一つの枠組みで考えることができるようになりました.さらに,この原理により,不完全ガンマ函数係数級数表示を経由して,臨界領域でなりたつ唯一の公式である,リーマン ジーゲル公式に至ることができます. この原理により,ゼータ函数の理論に革命が起こることは確実であります.その一部は,国際会議の報告集に掲載予定の論文で述べております.今後5年間に渡り,毎年10編程度の画期的な論文を著すことにより,西洋に先んじられていた,数学の最先端を,日本から発信できるものと確信しております. さらに,フルウィッツ・ゼータ函数を含む非常に一般の和公式の応用として,ゼーター,L-函数の急収束級数表示を得ることに成功致しました.ファーレイ分数を含むベキ和についても広範な結果が得られ,日本数学会の学会誌に掲載されました.
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