研究概要 |
平成12年度の実績報告書に述べたように、この3年間の研究(むしろこれまでの研究生活)を通じて最大の成果は、平成l2年12月23日に、名古屋大学 谷川好男助教授と京都大学数理解析研究所研究員 吉元昌己氏と共同で、ゼータ関数に対する、モジュラー関係式を貫くルートの存在-モジュラー関係式原理-を発見したことであります。平成13年度は、この原理を個々のゼータ関数へ実際に適用し、ガンマ因子が一個の、ヘッケの関数等式をみたす種々のゼータ関数(とくに、多重フルウィッツゼータ関数、エプシュタインゼータ関数、保型形式に対応するL-関数)の整数点および有理点におけるラマヌジャン公式を求めることに成功致しました(裏面の業績[3],[4])。この原理の発見に至ったのは、ゼータ函数値の急速収束級数表示を改良しようという試みにおいてであり、[1]では、それが「フルウィッツ・ゼータ函数を係数にもつベキ級数を、フルウィッツ・ゼータ函数の導函数を含む有限和で表す」という「和公式」から従うことを示しております。昨年出版された、Choi-Srivaslavaの著書『Series associated with the zeta and related functions」Kluwer Academic Publishers,2001の第4章にある公式は、ほとんどすべて、論文[1]の公式の系であります。 また、これと平行して、[2]では、マイエ行列式を構造的に解析レ、こクランゼン型のマイエ行列式と合わせることによって、デデキントゼータ関数の正の整数点における特殊値が表示できることが示されました。[6]では、約数問題の進展を行いました。また、現在、中国科学院教授C.-H.Jia氏とともに、日中セミナーの報告集(裏面の図書)を編集しております
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