研究概要 |
射影多様体の定義イデアルの自由分解について研究を、平成11年度に引き続き、進めました。今年度は、Eisenbud-Goto予想と呼ばれるCastelnuovo-Mumford regularityの上限を、その多様体の次数と余次元で表す問題を、Gruson,Lazarsfeld,Pinkham,Peskineの行った代数曲線、非特異代数曲面での方法、および、Kwakの高次元での方法を、野間淳氏(横浜国大)、原伸生氏(東北大)、佐藤栄一氏(九大)、福間慶明氏(高知大)らとの研究打ち合わせを通じて、一般の場合への拡張を考え、現在も研究を続行しています。これらの方法は、一般次元では大変わかりにくいGeneric Projectionの理論を用いているおり、その部分を代数的にすっきりした方法で解消することに研究の焦点を絞っております。また、この研究を通して、曲面の場合のCastelnuovo-Mumford regularityの上限を満たす場合の分類についてかなり見通しが立つまでに至り、来年度はこの成果を整理して発表する予定です。また、Rosa M.Miro-Roig氏(バルセロナ大、スペイン)との研究打ち合わせのため、カタロニア数学研究所(スペイン)を訪問しました。そこで、ベクトル束に対応するCastelnuovo-Mumford regularityの問題を研究しました。特に、Castelnuovo-Mumford regularityの上限を満たすものが有理線織面上の因子であることについて、リエゾンの理論との関連も含めて研究しました。この結果はバルセロナ大学でのワークショップで発表しました。現在も電子メールなどを用いて、共同研究を継続しています。
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