研究分担者 |
江頭 信二 埼玉大学, 理学部, 助手 (00261876)
阪本 邦夫 埼玉大学, 理学部, 教授 (70089829)
奥村 正文 埼玉大学, 理学部, 教授 (60016053)
水谷 忠良 埼玉大学, 理学部, 教授 (20080492)
酒井 文雄 埼玉大学, 理学部, 教授 (40036596)
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研究概要 |
当研究代表者は,主に,Spin構造の変形物であるSpin^q構造に付随するトウィスター空間の無限小カイラルアノマリーの研究に取り組んだ。 物理学サイドの言うカイラルアノマリー(右手系か左手系かに関する異常項)についてはそれをどの様に数学的に設定するかさえ曖昧である(と当代表者には思える)。この研究では,まずそれの妥当な数学的設定に取り組んだ。第一の問題点は計量に依存して変化するスピノール束をある固定されたスピノール束となんらかの手段て"標準的に同一視する"ことであり,この研究ではBourguignon-Gauduchonの手法を参考にその標準的同一視を与え,そのトウィスター空間に付随するある方向への無限小ディラック作用素の公式を導いた。次にその無限小ディラック作用素の与える無限小カイラルアノマリーの研究の足場となる"ディラック作用素の二乗に関係するある初期値問題の核"の基本的性質について考察した。実際には,その初期値問題をどの様に設定するのか,その核の何をどの様な手段(Bismut-Freed変換とでも呼ぶべきものや,Getzler変換を有効な手段と考えている)で考察するのか,本当に充分役立つ(と思われる)情報が最終的に得られるのか,といった問題が絡み合っており即断は避けたいが,(当代表者の考えでは)ほぼ満足のいくところまで到達しており"無限小カイラルアノマリーの本質的部分"を引き出せる段階にまで至っている。ただし,それが真に本質的部分であるのかといった問題も絡んでいることも記しておく必要があろう。カイラルアノマリーについては数学サイドから何を研究すべきかも曖昧であり,この研究ではその捕らえ所のない対象を何らかの意味で捕らえてみようとしている。
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