研究概要 |
ユークリッド空間及びユークリッド球面内の部分多様体については20世紀前半から研究が活発になされている.しかし,親空間が双曲型空間である場合については研究が十分になされていない.一つの理由にとして興味ある部分多様体の例が殆ど知られていないことが挙げられる. 十数年前報告者は,3次元双曲型空間H^3内に,平均曲率一定,回転面の具体的な構成と特徴付けをした.ここではn【greater than or equal】3である整数nについて,(n+1)次元双曲型空間H^<n+1>内に,平均曲率一定,回転超曲面の具体的な構成を行う.さらに,構成した超曲面の特徴付けを行うことができた.Barbosa,do CarmoとEschenburgはリーマン多様体の超曲面に対して汎関数を考え,平均曲率一定である超曲面はこの汎関数の第一変分が0であると定めることを示した. ここでは,H^<n+1>の回転面で,平均曲率一定である超曲面の族を,球面的部分多様体,双曲的部分多様体,放物的部分多様体の3種類を具体的に構成することができた.次に構成した,平均曲率一定である,回転超曲面の族の中からこの汎関数の第二変分が非負となるものを識別することができた. これらの結果は,「ユークリッド空間内の回転超曲面で平均曲率一定である部分多様体はアフィン超平面である」と比較して著しい対照をなしていることがわかる.
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