研究概要 |
この研究によって得られた新たな成果は次の2つの論文にまとめられている。 1,Universal phantom maps out of loop spaces,Proc.Royal Soc.Edinburgh 2,A rational equivalence out of a loop space,投稿中 1の論文では、次のような問題を考察し解決した。Xを基点を持った単連結な有限復体、ΩXによってXのループ全体の作る空間を表す。このとき、「ΩXからでる幽霊写像が常に自明なものとなるための必要十分条件は何か」という基本的な問題がある。この問題の解決はできなかったが、Xがリー群の時、必要十分条件を与えることができた。また、「k【greater than or equal】2のときΩ^kXからでる幽霊写像が常に自明なものとなるための必要十分条件はXが可縮なことである」ことが証明できた。証明はEilenberg-Mooreスペクトル系列とBrowderの∞-implicationという概念をもちいて、ル-プ空間のコホモロジー群の構造を解析することによってなされた。 2の論文では「ΩXからでて行き先が有限型の複体である幽霊写像で自明でないものが存在するのか」という問題を考察し、Xが有理的に楕円型の時、幽霊写像はすべて自明なものになることを示すことができた。また、素数で局所化すれば楕円型でなくても同様の定理が成り立つ。証明は1の論文とは異なって、非安定ホモトピー論の種種の結果を用いてホモトピー的(幾何的)になされた。 1の論文の元々の問題の解決と2の論文において空間が楕円型でないときにも同様の結果が成り立つかどうかを示すことが、今後の課題として残された。
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