研究概要 |
今年度の主な成果は,結び目の多項式不変量が変わらないようなタングル手術の研究と,手錠型空間グラフの研究である. 4本足タングルTのダブルとして得られる絡み目をDTとする.TがタングルRを含むときに,Rを別のタングルR'で置き換えて得られたタングルをT(R')で表す.このときDTはRとその鏡像R^*を含むが,それらを別のタングルR_1とR_2で置き換えて得られる絡み目をDT(R_1,R_2)で表す.R_⊥を90度の回転によるRの像とする.タングルT(R)が,ある条件をみたすとき,次の(i)-(iii)の各絡み目射影図の対のKauffmanのブラケット多項式は等しい. (i)DT(R,R^*) (=DT), DT(R_⊥^*,R_⊥). (ii)DT(R,R), DT(R_⊥,R_⊥). (iii)DT(R,R_⊥^*), DT(R^*,R_⊥). また,うまくT(R)に向きがついているとき,(i)-(ili)の各絡み目の対のHOMFLY多項式は等しい.さらに,(ii)の絡み目の対のQ多項式は等しい. これらの定理を用いて,実際のタングルの例について計算機を用いて,多項式不変量を求めた.その結果,これらの結果がベスト,つまり,例えば(i)についてはブラケット多項式が同じになることを述べているが,他の多項式不変量は異なるようなタングルの例を与えた. 手錠型空間グラフ(handcuff graph)については,位数4以下の有限型不変量のなすベクトル空間の基底を求めた.これは,大阪大学の小池敦等との共同研究で,現在,論文を準備中である.
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