研究概要 |
本研究はワイル多様体をとおして、Deformation Quantizationを調べる事を目的とするが、今年度は[1]Deformation Quantizationの幾何学の研究、および[2]パラメーターがν>0の場合のDeformation Quantizationの研究を行い、以下の知見が得られた。 [1]Deformation Quantizationの幾何学:Mをシンプレクテック多様体、W_MをM上のワイル多様体とし、Cをコンタクト代数とする。ワイル多様体W_MのPoincare-Cartan class c(W_M)∈H^2(M)[[ν^2]]を考える。c(W_M)を与えるCech 2-cocycle{C_<αβγ>(ν^2)};C_<αβγ>(ν^2))=C^<αβγ>_<(0)>+C^<αβγ>_<(2)>ν^2+・・・,C^<αβγ>_<(2κ)>∈R,同じくc(W_M)を与えるclosed 2-form Ω(W_M)(ν^2)∈Λ^2(M)[[ν^2]]をそれぞれとる。結果は次の4点である。(1)Cech 2-cocycle{C_<αβγ>(ν^2)}を用いて,W_Mの張り合わせの写像をCをfiberとするbundleの張り合わせの写像へと拡張して、CをfiberとしW_Mを部分束とするalgebra bundle C_Mを構成した。(2)さらにbundleC_M上に,Ω(W_M)(ν^2)を曲率に持つ接続を構成した。(3)接続はW_Mに制限したときFedosovの接続を与え、Ω(W_M)(ν^2)はFedosovの接続の曲率と一致する。(4)このことから,Cech 2-cocycleにより与えられるPoincare-Cartan classと曲率Ω(W_M)(ν^2)により与えられる特性類とが一致することが示せた。 [2]パラメーターがν>0の場合のDeformation Quantization:複素2変数の正則関数の集合の場合にp>0をパラメータとする位相の族を導入する。それぞれについてFrechet-Poisson algebraを考える事ができ、収束するstar-productの概念が設定される。特に2次形式のstar-exponential functionの収束性が示され、さらにこの元を用いる事により、収束するstar-algebraの持つ特異性(結合律が破れる現象)が発見された。
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