グラフ論、離散最適化とその応用

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11640105
• 研究機関: 電気通信大学
• 研究代表者: 安藤 清 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (20096944)
• 研究分担者: 吉岡 正典 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (90272749) ; 田村 明久 京都大学, 理学部, 助教授 (50217189) ; 浅野 哲夫 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (90113133)
• キーワード: グラフ論 / 離散最適化 / アルゴリズム / 計算幾何 / 離散幾何 / 組み合せ幾何 / 組合せ論 / 位相幾何的グラフ論

研究概要

以下に本研究の本年度における実績の概要を示す。グラフ論、離散最適化、計算幾何学は一見無関係に思われる分野にも積極的に応用されている。その応用分野として画像の等高線表現について研究した。画像は各画素の明るさの情報を表す行列の形で表現されるのが一般的であるが,画素の明るさをその位置における標高と見なすと地形図と同等に扱える.地形図と同様に画像を等高線の集合として表現する方法を従来の行列表現と様々な応用の角度から比較検討し、等高線表現の効率の良い求め方とデータの蓄え方を提案した。グラフ論、離散最適化を等高線表現に適用し、画像修復の問題解決法を提案した。有向グラフの一般化である双向グラフ上で一般化安定集合問題を研究した。三角化双向グラフの一般化安定集合問題に対する線形時間アルゴリズムを提案した。また、クローフリーグラフの最大重み独立集合を求めるMintyのアルゴリズムの訂正版を提案した。グラフの距離構造についてはワイド直径とグラフに含まれるFan、閉路等の構造の大きさについての評価を与えた。グラフのk-可縮辺の存在を保証する禁止部分グラフ条件について研究し、この分野で先駆をなしたThomassenの結果や最近の河原林の結果を含むより一般的な定理を示した。また、5-可縮臨界グラフの各頂点には次数5の頂点が隣接することを示し、その帰結として5-可縮臨界グラフでは少なくともその1/5の頂点が次数5であることを示した。さらに、与えられた任意のグラフをその誘導部分グラフに含む5-可縮臨界グラフの存在を示した。この結果は一部の研究者の予想に反し、5-可縮臨界グラフの特徴付けが4-可縮臨界グラフの場合のようには容易でないことを示唆するものである。

研究成果

• [文献書誌] T.Asano: "Effective Use of Geometric Information for Clustering and Related Topics"IEICE Trans.on Fundamentals. Vol.E83-D, No.3. 418-427 (2000)
• [文献書誌] 浅野,木村,嶋津: "画像の等高線表現とその応用"情報処理学会論文誌. Vol.39,No.12. 009 (2000)
• [文献書誌] D.Nakamura,A.Tamura: "A linear time algorithm for the generalized stable set problem on triangulated bidirected graphs"Journal of the Operations Research Society of Japan. Vol.43. 162-175 (2000)
• [文献書誌] D.Nakamura,A.Tamura: "A revision of Minty's algorithm for finding maximum weight stable set of a claw-free graph"to appear in Journal of the Operations Research Society of Japan. Vol.44. (2001)
• [文献書誌] K.Ando,A.Kaneko and K.Kawarabayashi : "Contractible edges in k-connected graphs containing no K^-_4"SUT J.Math.. Vol.36,no.1. 99-103 (2000)
• [文献書誌] T.Kojima and K.Ando: "Wide-diameter and minimum length of fan"Theoritical Computer Science. Vol.235,no.2. 257-266 (2000)
• [文献書誌] T.Kojima and K.Ando: "Minimum length of cycles through specified vertices in graphs with wide-diameter at most d"to appear in Ars Combin.. (2001)
• [文献書誌] H.Komuro and K.Ando: "Diagonal flips of pseudo triangulations on the sphere"to appear in Ars Combin. (2001)