研究概要 |
研究代表者及び各分担者はこの研究課題に直接的又は間接的に関係する研究成果を得ることができた。 代表者の得た主な研究成果は次のようなものである。 1.平均二乗誤差の下で、指数分布における未知の位置母数と尺度母数の1次結合の点推定問題を考えた。リスクがある与えられた誤差以下になるような最小の標本数で推定するとき、漸近的に最適な標本数には未知母数が含まれる。そこで、逐次推定量の族を提案し、与えられた誤差が十分小さいとき、これらの逐次推定量に対するリスクの漸近展開を求め、制約条件が満たされることを示した。この結果はSequential Analysis vol.18,no.3&4(1999)に掲載された。 2.平均二乗誤差に標本抽出の費用を加えた関数を損失関数として、k個の母集団の母平均の1次結合を推定する点推定問題を考えた。推定量を与え、そのリスクを最小にする最小の標本の大きさを具体的に求めると、未知母数が含まれてしまう。そこで、逐次推定量を提案し、1標本抽出当りの費用が十分小さいとき、この推定量に対するリグレットの2次の漸近展開を与えた。また、偏りを修正した逐次推定量を提案し、それに対するリグレットの2次の漸近展開を求めた。この結果はStatistics and Probability Letters vol.47,no.1(2000)に掲載された。 3.正規分布における未知の母平均と標準偏差の1次結合の点推定問題を考えた。平均2乗誤差と標本抽出にかかる費用の和を損失関数とし、リスクを最小にする標本数で推定したい。この場合、漸近的に最適な標本数には未知母数が含まれる。そこで、ある逐次推定量の族を提案し、1標本抽出当りの費用が十分小さいとき、これらの逐次推定量に対するリスクの2次の漸近展開を求めた。さらに、バイアスを修正した逐次推定量を提案し、バイアスを修正した逐次推定量はリスクを減少させる効果を持つことを示した。得られた成果はJournal of Statistical Planning and Inference,vol.92,no.1&2(2001)に掲載された。
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