研究概要 |
平成11年度から13年度にわたる研究期間を通じて、課題「非線形拡散現象の確率的数値解析」に関する基礎理論的研究を、また後半期はこれと並行してさまざまな典型的非線形問題について理論的研究及び数値実験を行い、方程式の近似理論や数値解の精度から準乱数の生成等について多くの有用な成果を得た。またこれまでの研究成呆の学会誌等への発表や国際会議での発表にも重点を置いた。 [1]SPDEモデルの構成:主要部に白色ガウス雑音を含む一階のSPDE(即ちプラウン粒子方程式)、特に係数が解の平均値uに依存する場合の研究;(a)Burgers方程式や多孔媒質中の浸透現象もこの型の非線形拡散方程式として記述されブラウン粒子方程式による確率モデルが対応する。係数が未知平均解uに滑らかな依存性を持たない場合であるが、前者についてはこの方法で確率解の構成ができることを示した。後者についてはこのモデルに基づく粒子法でもって浸透現象に於ける「慣性効果」の存在を実験的に示した。(b)また白色雑音項が方程式の主要部と増幅項の2カ所に入ってくる型の線形のブラウン粒子方程式を未知関数変換で解くことにより、確率論の結果「ギルサノフの定理」を極めて初等的に導けることを示した。SDEの数値解法:区分的にC^2級の力学系を使って確率微分方程式の数値解を構成ができることを示した。また準乱数を用いた方法とその周辺課題の理論的・実験的研究を行い有効な結果を得た。 結果の発表:[1],[2]それぞれについて、成果を国内外研究会議にて発表し、論文として学会誌に掲載予定である。詳細は別途提出の冊子「研究成果報告書」を見られたい。
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