研究課題/領域番号 |
11640110
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
服部 久美子 信州大学, 理学部, 助教授 (80231520)
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研究分担者 |
神谷 久夫 信州大学, 理学部, 講師 (80020676)
井上 和行 信州大学, 理学部, 教授 (70020675)
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キーワード | フラクタル / ランダム・ウォーク / self-avoiding walk / self-repelling walk / 連続極限 / 確率過程 / Sierpinski gasket |
研究概要 |
Sierpinski gasketとよばれるフラクタル上のself-repelling walkの研究を行った。Sierpinski gasket上では、Barlow等により、simple random walkの連続極限として、ブラウン運動が構成されている。また、K.Hattori(研究代表者)等により、あるself-avoiding walk(自己回避ウォーク)のモデルの連続極限として、Sierpinski gasket上に自明でない(pathのHausdorff次元が1より大)self-avoiding processが構成できることが証明されている。これらの、全く性質の異なる2つの確率過程の間を、連続につなぐような確率過程の族を構成した。これはパラメータuを含むself-repelling walkの族の連続極限として構成される。u=1で極限の過程はブラウン運動と一致し、u=0では上記のself-avoiding processと一致する。0【less than or equal】u【less than or equal】1に対して、極限の過程は法則収束の意味でuに関して連続である。さらに、pathの振る舞いを支配する指数(平均2乗距離の指数として現れるもの)もブラウン運動とself-avoiding processの指数の間をuに関して連続につないでいる。一般に、パラメータを変えても、指数は変化しにくい。最も簡単な1次元空間でも、今まで扱われていたモデルでは、パラメータを変えても、指数はself-avoiding processのものと等しいままか、ブラウン運動のものと等しいまま、または、ある程度変化しても両端を結ぶには至っていなかった。ブラウン運動とself-avoiding processの指数まで連続につなぐモデルは、Sierpinski gasket上に限らず、今まで全く構成されていなかつた。我々の方法はSierpinski gasketだけでなく、1次元空間にも適用可能である。
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