クンツ環を通してフェルミオン場の成すC^*環であるCARの構造を解明した。まず、フェルミオン場やパラフェルミオン場の成すC^*環をクンツ環に埋め込む具体的方法を明らかにした。この成果は、論文"Recursive Fermion System in Cuntz Algebra. I"としてComm. Math. Phys.誌に掲載予定である。続いて、2次元量子重力において重要な役割を演じるFaddeev-Popovゴースト場のゼロモードの表現について、クンツ環を拡張した擬クンツ環を構成することによって種々の構成法を示した。この成果は、論文"Pseudo Cuntz Algebra and Recursive FP Ghost System in String Theory"として、現在投稿中である。また、クンツ環を通して初めて明らかになってきたCARの構造として、線形変換で表されるCARの自己同型であるボゴリューボフ変換を非線形に一般化した自己同型を自在かつ具体的に構成可能であることを示した。この成果は、論文"Nonlinear Transformation Group of CAR Fermion Algebra"として現在投稿中である。なお、これらのクンツ環に関する成果は、平成13年12月の京都大学基礎物理学研究所における研究集会「場の量子論の基礎的諸問題と応用」に於いて講演題目"Recursive Fermion System in Cuntz Algebra"として発表した。 光円錐ゲージにおける2次元ノンアーベリアンBF理論とゲージ理論の演算子形式による厳密解を構成し、場の方程式アノマリーが存在することを示した。その結果としてNoetherカレントに下づくBRS電荷にもアノマリーが存在することを明らかにした。この議論はコンフォーマルゲージの2次元量子重力(弦理論)におけるBRSアノマリーの話と完全にパラレルであり、上記の結果に基づいてBRSアノマリー消失条件としての臨界次元の導出に対して批判を行なった。この成果は、論文"Exact Solutions to the Two-dimensional BF and Yang-Mills Theories in the Light-cone Gauge"として、Int. J. Mod. phys. A誌に掲載予定である。
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