研究分担者 |
谷口 正信 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (00116625)
磯貝 恭史 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (00109860)
白旗 慎吾 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (10037294)
熊谷 悦生 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (20273617)
安芸 重雄 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (90132696)
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研究概要 |
近年,数理ファイナンスや環境統計という実際分野において,確率過程の母数モデルが統計解析のための重要な方法として研究されている.従来,統計的推測理論は観測と母数が双対関係にある指数型分布族,さらには,一般の分布に対して大標本において局所漸近指数型分布族として研究されてきた.本研究では,指数型確率過程,さらには,確率過程の局所漸近指数型分布族の導入により統計的推測理論の数学的構造を解明し発展させることが研究目的である. 我々は指数型分布族・曲指数型分布族の理論や情報量幾何学的方法などを確率過程母数モデルに適用し統計的推測理論の研究を発展させた.ポアソン点過程や拡散過程など具体的な指数型確率過程に対する尤度を通して,十分統計量や情報量の計算を行った.曲指数型分布族の統計的曲率と情報量損失との問題では,エフロンの母数化モデルについて検討し,エフロンの方程式が極形式モデルというものを定義しているということを示した.そのことから,情報量損失と漸近2次有効性の違いを指摘したといわれる「エフロンの反例」が実は反例になり得ないことを証明した(Kumagai, Inagaki and Inoueの論文).また,多次元曲指数型モデルとして,多次元球面モデルを導入し,その統計的曲率と情報量損失との正確な関係式を得た.それからエフロンによる漸近的関係式が成り立つ漸近的速度を示した(Inoue, Inagaki and Kumagaiの論文). 統計的推測決定問題において,従来は独立同分布からのデータに基づく手法と考えられていたものを積極的に従属データにも適用することを推し進め,そのための前提条件の検討やその結果の検討を行った.大偏差理論を時系列データで展開した(Taniguchiの論文)ことやマルコフ過程従属性を持つデータに対する連の分布の計算を行った(Akiの論文)こともその成果である. 多変量空間データは,非常に多くの情報を含み多変量解析や時系列解析の手法を駆使する必要があるが,等方向性変換のもとで標本バリオグラムとバリオグラム関数の適合を行い,空間データの解析を行った.
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