研究概要 |
本研究の目的は、信号にノイズが加わった時系列データから信号を復元することである.まず直交ウェーブレットから得られる直交行列でデータを変換し,ウェーブレット展開係数を得る.多くの場合,信号成分は低レベルの信号に含まれていると考えられるので,低周波成分を保存し,中周波成分を縮小し,高周波成分をゼロにし,その結果を逆変換して信号を取り出す手法が考えられる.そこで全展開係数がベイズモデルに従うと仮定し,トレ-ドオフパラメータを周辺尤度の最大化,及びKitagawa(1997)による予測情報量基準PICの最小化の2通りで推定した. 本手法をDonoho and Johnstone(1994)が提案したVisuShrinkと2乗誤差で数値的に比較した結果,同程度以上の性能を示し,特に標本数が小さいときに優れていることが示された.12年度の課題は1)周波成分を分割するレベルの客観的な設定の仕方,2)直交ウェーブレット関数の選択の仕方について考察することである.また画像のノイズ低減にも適応できるようにしたい. 本研究は衛星データのノイズ低減の手法として意図された.関連する研究として,衛星データから土地被覆を判別する手法の比較基準の導出や低解像度画像を改良するために用いられる高解像度データの選択方法についての成果を得た.
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