研究概要 |
3次元空間内の互いに交わらないような球の族に関する,今年度の研究結果の一部: 1.[結び目をなす球の配列について] 単位球の巡回列(真珠のネックレス)で結び目を作るとき、15球あれば可能であることを示した。最小のknotエネルギーが74以上(Simonの数値実験)と仮定すると、12球以上は必要であることが示される。(15球は必要であると予想している。)距離が2+√2離れた2枚の平行な平面の間にはさむことができる単位球の巡回列の場合は、結び目を作るのに16球以上必要で、三葉結び目の場合に限り、ちょうど16球で作れることを証明した。また、球の大きさがまちまちでよければ、12球で結び目を作ることができることを示した。 2.[絡み目をなす球の配列について] m個の球の巡回列とn個の球の巡回列で作られる絡み目を(m,n)-linkと呼ぶ。(m,n)-linkにおいて、m個の球のいずれも、他のn球のすべてに接しているとき、その(m,n)-linkはtightであるという。次の結果を得た。(1)(3,n)-linkが存在するのはn【greater than or equal】6の場合だけであり、(3,6)-linkはすべてtightである。(2)(4,n)-linkが存在するのはn【greater than or equal】4の場合に限り、すべての(4,4)-link (linked 4-pairと呼ぶ)はtightである。 3.[球の族を刺す直線について] テーブルの上に置かれたn個の球の族をF_nとする。テーブル上の点xを通り、テーブルに垂直な直線が突き刺すようなF_nの中の球の個数(piercing number)をp(x,F_n)で表す。点xがテーブル上で一様に分布するときのp(x,F_n)の平均は、常にlogn+o(1)以下であることを示した。この結果は、球を並べて完全グラフK_nを実現するときの必要な球の最小個数の評価に用いられる。
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