研究概要 |
空間内の球の配置に関する今年度の研究結果 1.[球の配列によるグラフの実現について]3次元空間内で,グラフの各頂点を球で,各辺を,球と球を結ぶ球の列からなる鎖で実現する.ただし,球どうしはオーバーラップしないものとする.頂点数nの完全グラフの実現に必要な球の最小個数b_nについてc_1n^3<b_n<c_2n^3lognなる評価を得た.テーブルの上に置かれた球だけを用いる場合はc_3n^4/logn<b_n<c_4n^4となる.また,いくつかのグラフについて,必要な球の最小個数を決定した. 2.[球を刺す直線について]d-次元空間R^d内の互いに交わらないn個の球の族Fに対して,λ=λ(F)=(最大半径)/(最小半径)とおく.すると,R^d内の互いに交わらない球のどんな族Fについても,ある方向を選べば,その方向の直線ではO(√<(1+logλ)nlogn>)より多くの球を刺すことはできない.一方,任意のn【greater than or equal】dについて,R^d内のn個の球からなるある族Fでは,どんな方向を指定しようとも,その方向のある直線でFの中のn-d+1個以上の球を刺すことができる. 3.[球の族の平面による分割について]平面上の互いに交わらないn個の円板の族Fについては,ある円で,その内部にも外部にも,Fの中のn/4+o(n)個以上の円板が含まれるような円が存在する.logλ=o(n)なら,Fを1本の直線で切って,直線のどちら側にも約半数(つまりn/2-o(n)個)の無傷な円板を残すことができる.また,R^3内の互いに交わらないn個の球の族については,logλ=o((n/logn)^<1/3>)なら,どちら側にも約半数の無傷な球が残るように,その族を一枚の平面で切ることができる.
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