研究課題/領域番号 |
11640133
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
小松 孝 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80047365)
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研究分担者 |
伊達山 正人 大阪市立大学, 理学部, 講師 (10163718)
釜江 哲朗 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80047258)
根来 彬 静岡大学, 工学部, 教授 (80021947)
吉田 雅通 大阪市立大学, 理学部, 助手 (60264793)
平場 誠示 大阪市立大学, 理学部, 講師 (30260798)
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キーワード | 飛躍型確率過程 / マリアバン解析 / 確率微分方程式 / 擬微分作用素 / ヘルマンダーの定理 / 確率密度関数 / マルコフ過程 / セミマルチンゲール |
研究概要 |
本研究の目的は、退化した生成作用素を持つ飛躍型のMarkov過程の推移確率の正則性を、確率解析的方法によって示すことである。確率解析の分野でMalliavin解析は既に確立した方法であるが、それは通常Wiener空間上で行われる。類似の解析をcad-lag空間という、不連続写像を含む関数空間の上で行おうとすると、それはWiener空間上とは比較にならない程の困難に直面する。Malliavin解析で中心となるのは関数空間上の部分積分公式であり、その公式が成立するための条件は、Malliavin共分散と呼ばれる汎関数行列の逆が存在し、その逆行列の任意の高次モーメントが有限であることである。Malliavin解析において、大きな部分がこの「共分散の非特異性」に関する議論に当てられている。しかし、cad-lag空間上の解析の場合に、Wiener空間上の解析で採られた方法に沿って「共分散の非特異性」を示すのは絶望的である。 研究代表者小松等は、飛躍型の確率微分方程式の解の分布の密度関数が滑らかであるための十分条件として、拡散型の確率微分方程式の場合のHormander条件の一般化に相当する条件を導く目的で、cad-lag空間上の汎関数の微分の定義を始めとするMalliavin解析の枠組みの再構築を試みた。その結果、「共分散の非特異性」を示す単純であるが強力な方法を考案した。それはある種のsemimartingaleの汎関数についての評価式を利用するものである。この成果は本年度の研究会及び学会で、「飛躍型の確率微分方程式の解の密度関数の滑らかさについて」という題で口頭発表した。このsemimartingaleの汎関数についての評価式は、確率微分方程式とは無関係であり、連続なsemimartingaleについては簡単に証明出来て、既成のWiener空間上のMalliavin解析の重要部分の簡略化にも役立つ。このことは下記のKomatsu-Takeuchi論文として雑誌発表予定である。
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