研究分担者 |
前田 吉昭 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40101076)
榎本 彦衛 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00011669)
塩川 宇賢 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00015835)
中本 敦浩 大阪教育大学, 教育学部, 助手 (20314445)
神保 雅一 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (50103049)
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研究概要 |
幾何学的対象に埋め込まれたグラフの研究として,従来から行っていた閉曲面の三角形分割や四角形分割の理論を,より一般的なグラフへの理論へ拡張する試みを行った.三角形分割に対する生成定理や,対角変形と呼ばれる操作による変形に関する定理を,外平面グラフの拡張である外三角形分割というグラフについて適用し,特にトーラス及びクラインの壺上で顕著な成果をあげた.四角形分割においては,従来より,閉路の偶奇性に関連した閉曲面の代数的不変量が,変形操作での遷移可能性に影響を及ぼすことが知られていたが,同じ不変量が染色数にも影響を及ぼすことを示した. 本研究の目的のひとつに,平面において知られていた事実を一般の閉曲面へ拡張するための一般的道具立ての開発を挙げていたが,閉曲面上のrepresentativityの高い3連結グラフに対して,それを切り開き,元の構造をあまり破壊せずに全域部分グラフとなる平面グラフを得る手法を開発した.この手法により,3連結グラフがどの程度ハミルトン性に近い性質を持つか,という問いに対する答えとして,最大次数4以下の全域木で,次数4の頂点の個数が曲面の種数だけに応じた数で抑えられたものが存在すること,最大次数8以下の全域2連結部分グラフで,次数7以上の頂点の個数がやはり種数だけに依存する数で抑えられるものが存在すること,辺の数が頂点数のほぼ4/3倍以下で抑えられる2連結全域部分グラフが存在することを証明した.また,3連結平面グラフでの先行研究の拡張として,次数和の小さい連結部分グラフに関する結果も同じ手法を用いて証明することができた.さらに,4連結性を仮定すると,よりハミルトン性に近い性質を持つこともわかった.
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