研究概要 |
本年度は、グラフGのA-被覆グラフと、対称有向グラフDのg-巡回的A-被覆のΓ-同型類の数え上げについて、明星大学の水野弘文教授と議論しつつ、研究を進めた。 1被覆グラフについては、一般線形群GL_3(Z_p)の共役類を利用して、Z_p^3-被覆グラフのΓ-同型類の個数を数え上げ、3≦n≦p(p:奇素数)について、Z_p^n-被覆グラフのΓ-同型類の数え上げが可能であることを示した。論文にして投稿中。 2 1を利用して、g-巡回的Z_p^3-被覆(p>2:素数)のΓ-同型類の個数を決定し、論文にまとめて投稿した。 3g-巡回的A-被覆について、以下の結果を得た。 (1)有限アーベル群Aとg∈Aに対して、Dのg-巡回的A-被覆に関する、対称的有向グラフDの自己同型写像Γの持ち上げ(lift)が、存在するための必要十分条件を与え、Γのliftの元の構造を決定した。また、奇数位数の元g∈Aに対して、Γ同型なg-巡回的A-被覆の特徴付けを用いて、Γのliftが、AのΓによる分裂拡大であるための必要十分条件を与えた。 (2)有限アーベル群Aについて、一般のg∈Aに対して、Γのliftが、AのΓによる分裂拡大であるための必要十分条件を与えた。 (1),(2)は、ともに、シンポジウムにて発表し、論文にまとめて投稿した。(1)は、最近、Far East Journal of Mathematical Sciencesに掲載された。 4 被覆グラフの数え上げから少し外れるけれども、前回の科研費補助金基盤研究(C)の目標であった、グラフGの正則被覆グラフ(A-被覆グラフ)の特性多項式の分解公式の応用として、正則被覆グラフのcomplexity(全域木の個数)の一つの公式を、群の表現の性質を用いて与えた。日本数学会にて発表し、論文にして投稿中。
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