| 研究概要 |
本年度は、被覆グラフとその拡張の数え上げについて、明星大学の水野弘文教授と議論しつつ、研究を進めた。被覆グラフの数え上げから少し外れるけれども、前回の科研費補助金基盤研究(C)の目標であった、グラフGの正則被覆グラフ(A-被覆グラフ)の特性多項式の分解公式の応用として、以下の結果を得た。
(1)小谷と砂田が定義した、oriented line graphについて考え、Gの正則被覆グラフ(A-被覆グラフ)のoriented line graphのゼータ関数について、Aの既約表現に関する分解公式を与えた。また、Aの表現についてGのoriented line graphのL-関数を定義し、その行列式表示を求めた。さらに、正則被覆グラフのoriented line graphのゼータ関数を、Gのoriented line graphのL-関数の積で表し、正則被覆グラフのゼータ関数のL-関数による分解公式の別証明を得た。韓国で開かれたシンポジウムにて発表し、そのproceedingsへ投稿中。
(2)正則被覆グラフのゼータ関数を、Gのprime reduced cyclesに関する無限積で表した。また、群の既約表現の性質を用いて、対称的有向グラフDのg-巡回的A-被覆のゼータ関数を、Dのprime cyclesに関する無限積で表した。JP Journal of Algebra, Number Theory and Applicationsに掲載された。
(3)グラフGのarcsに重みを付け、重み付ゼータ関数を定義し、正則被覆グラフの重み付ゼータ関数の分解公式を調べた。Gの重み付L-関数を定義し、その積として、正則被覆グラフの重み付ゼータ関数を表したい。
(4)有向グラフDのarcsに重みを付け、重み付ゼータ関数を定義し、Gの正則被覆グラフのoriented line graphの重み付ゼータ関数の分解公式を考えた。Gのoriented line graphの重み付L-関数を定義し、正則被覆グラフのoriented line graphの重み付ゼータ関数を、Gのoriented line graphのL-関数の積で表したい。
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