研究分担者 |
天野 一男 群馬大学, 工学部, 助教授 (90137795)
斎藤 三郎 群馬大学, 工学部, 教授 (10110397)
中村 玄 群馬大学, 工学部, 教授 (50118535)
田沼 一実 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (60217156)
天羽 雅昭 群馬大学, 工学部, 講師 (60201901)
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研究概要 |
あたえられた物体の表面から電流を流し込み,その結果生じた表面上の電位分子を観測する。これを何回か実行し(無限回を含める),表面から流し込んだ電流と対応する表面上の電位分布の対のデータを得る。このデータから,物体内の導電率の分布を再構成する問題を数学的に定式化したのがCalder\'onの問題である。これは電気インビーダンストモグラフィを数学的に定式化した典型的な逆問題である。 導電率が滑らかな場合はNachmanによる無限個のデータを用いた導電率自身の再構成公式があるがその不連続面を再構成する問題も重要であると考えられている。我々はこの問題に取り組み不連続面を再構成するための3つの数学的方法,すなわち,探針法,囲いこみ法および切断法を提唱するに至った。 探針法とは,不連続面を,物体内に仮想的に侵入する針が最初に当たる点と把らえ直し,勝手に与えた針の侵入経路に沿って針の先端が移動していくときそれが不連続面に当たるかどうか当たるとすればいつかを予言するもので,不連続面の内側の物体(これを介在物という)そのものの再構成公式をもたらした。 一方囲い込み法は,ある方向からそれに直行する平面を遠くから下降させたときそれがいつ不連続面に当たるかを予言するものであり,介在物の凸法の再構成公式をもたらした。 また,切断法は,勝手に与えた平面状の形をした刃を遠くから下ろしてきたときそれが不連続面に当たるかどうかまた当たるとすればいつかを予言し,これは介在物の平面による切断面の凸包の再構成公式をもたらした。 つぎに,物体の音波による散乱を取り上げ,散乱データから未知の物体を再構成する問題へ探針法を応用した。その結果散乱振幅から物体そのものを再構成する公式を手に入れるに至った。なを囲いこみ法は,これからの最重要課題である有限個のデータからの再構成問題にも有効であり二つの典型的な問題への応用を与えた。
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